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芸術的 ?!

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2004-11-25

昨夜は sagak さんと幸せな邂逅。一昨日お話しできたにしつかささんといい、今週のぼくはちょっとツイてる。

昨日はもう一ついいことが。sagak さんにBMをお褒め頂き、その流れでオリジナル作品のお薦めを教えて貰った。さっそく当該サイトさんへ飛び、今日一日暇を見つけては読みつつ、今の今まで掛かって読破。もう、すばらしかった…。

ブログの方に、「リンクはご自由に」との記述があるので、無断でリンク。

→ Delicate Forelock No.9

より、『あくる日のソナタ』というお話。

 皮相なキーワードを挙げるなら、「天才ピアノ奏者の主人公(大金持ちの跡継ぎ」「アルピノの超絶美少女ヒロイン」「小動物系サブヒロイン」「高校が舞台」という、ありがちな――負の印象を承知で言わせて貰えば――設定の数々。物語の形態はネタばれになるので詳述はしないが、所謂古来からのパターンに忠実。

 しかし、読ませる。


 「西洋における全ての恋愛物語は、『トリスタンとイゾルデ』の変奏(ヴァリエーション)に過ぎない」
 そう語った批評家が誰だったか忘れたけれど、『あくる日のソナタ』を読んで、この言葉を深く考えさせられた。「目新しさ」「奇矯さ」を排することは、物語を”読んで貰おう”とする姿勢を持って書く限り、ひどく難しい。自分の持っている何かを、言葉を換えれば自分”だけの”何かを伝えたい。その欲望に打ち勝つことは困難だ。何かを書くという行為の源泉にあるかもしれないような感情を抑えてなお何かを書こうとするのは、極言すれば矛盾に近い心の動きなのかもしれない。
 この作品で、作者(文中での敬称は略させて頂きます)は故意に、いわゆる「テンプレート」を以て話を構成しているように思われる。非常に長い話の流れの中で、読者の予想を裏切るような展開は一つも起こらないし、登場人物の感情は、読者に「許容されうる」以上の汚さ、暗さをみせることもない。流麗に流れるバロックの舞曲(ぼくは音楽の専門教育を受けていないので、単なる印象だが)のように、場面場面に感情の盛り上がりが設定されながら、なおモデレートな感じを受けるのだ。
 
 そして、それでいて、なお、読ませる。
 ぐいぐい読者を引き込んで、最初舞台の書き割りめいていたはずの登場人物は、いつのまにか読者の脳裏にしっかりと息づいている。主人公もヒロインも、設定の「平易さ」から浮き上がり、内面を読み手に見せてくれる。一体この感覚はなんなのだろうと考えてみれば、たぶんそれは作者の持つ明確なビジョンの故なのではないか、そう思った。
 登場人物それぞれに設定した姿勢、性向は、徹底して揺れない。第一話が始まって最終話が終わるまで、常に一定の役割を演じ続けているように見える。主人公の成長も、挫折も、ヒロインの懊悩も、喜びも、全てそれぞれに割り振られた性格が「そうあるだろう」発展系として描かれている。その首尾一貫した(統一された)流れが、キャラクタを実際に「動いている」と感じさせる要因なのではないか。

 物語的虚構を維持し、現実にはままある「偶然性」、解析しえない不可解な心の動きを導入せず、いわば普遍的な ”AだからB” の形で推移する物語を『古典的』と称するならば、『あくる日のソナタ』はまさに、 ”古典的小説” であるように思われる。例えば人工的に数百年剪定を重ねて作り上げた庭園のように、全ての物語内オブジェクトは手懐けられていて、生の、予想外の、不快な、状況は「刈り取られて」いる。そして読者はまさに、自分→物語、という風に、没入するのではなく対象物として作品を受容することができる。読者は主人公に感情移入することを求められない。ただ、「外側」から見て、目の前で繰り広げられる劇を堪能する。

 この安心感、この整合性。訳の分からない混沌に放り込まれて始まる物語もあるけれど、この作品のように、階段を一歩一歩着実に上っていく作品もすばらしい。最初陳腐だと思っていた設定をいつのまにか受け入れている自分を発見したとき、「ヤラレタ」と思わず呟いてしまった一作。一日を割いて読むに値する作品はそう多くはない。そして『あくる日のソナタ』はまさに、その稀少な作品の一つだと思う。


 と、長々書いてきたけれど、正直真莉萌え。
 あと、ワルトシュタインというチョイスだけでオーバーヒート気味。帰宅してギレリスのライブを聴きながら読むと感動は倍増。ワルトシュタインキター!
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Comment

sagak : 2004-11-27(Sat) 01:01 URL edit
続編がまた素晴らしいです。
というか……お鶴さん萌え!(言語パターンが激しく少ない
笙司眞一 : 2004-11-27(Sat) 23:34 URL edit
マダ読んでない・・・。
もちろん続編もチェックしますー。
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